「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー


もしかしてー…沙織…まさかー…あの時、嘘をついていたんじゃ…。だから、俺の目を見なかったんじゃないのか?


その考えが頭を支配し、胸の奥がザワザワとざわつき始めた。


バッと突っ伏していた体を起こして、ギアを入れてアクセルを踏んだ。


暗闇に響くエンジン音。ハンドルを回して車を走らせた。


どうしてー…気づかなかったんだろう…。


沙織が嘘をつくとき決まって俺の目を見なかったんじゃないか。


それを俺は単に沙織から避けられていると感じていた。


俺の顔を見たくないだけだと、それが事実なら怖くてずっとその事から逃げていた。


自分が傷つくことが怖くて、ただ逃げていただけだったんじゃないのか?


それに、俺が知っている沙織は、誰かを傷つけるぐらいなら自分が傷つく方を選ぶ女じゃないのか?


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