「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー

【沙織side】


軽やかな曲が流れる車の中。助手席に座り窓から流れる景色をボーと眺めていた。



「なんか、元気ない顔してるなぁ」


運転席でハンドルを握りながらチラリとあたしの顔を見て、そうボソッと呟くその人に深いため息をもらした。



「もしかしてー…怒ってる?」

そう聞く彼に、窓の景色を眺めながら「別に。怒ってないよ」と呟いた。


「嘘。沙織、嘘つくとき絶対俺の目見ないでだろう?」


そう自慢げに聞く彼に、ウグッと言葉を詰まらせた。



「カズくんにはかなわないね…」

「一応、これでも元カレだからね」

嘘をつく時の仕草ぐらい知っているよと自慢げに笑ったカズくん。


仕事が終わり帰ろうと従業員の出口から出てきたあたしの目の前に車を止めてカズくんは「送るよ」と半ば無理やり車の中に乗せたんだ。



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