「I Love You」をキミにー秘密のオフィスラブー
理沙がこの店に来ることは決して珍しくはない。
だが、それは俺がいる紳士服や、婦人服かインテリア売り場などだ。
子供服に縁がないはずの理沙がここにいることが、余計に違和感を感じさせて言葉を失った。
「どうしたの?誠。そんなに驚いた顔して」
俺の気持ちを知ってか知らずか、そう冗談っぽく言ってくる理沙。
その言葉に、あぁ…ちょっとなと苦笑いを浮かべた。
「どうしたんだ?ここにいるなんて…」
「まぁね。ほら、うちの姉に赤ちゃん生まれたから。ちょっとね」
手に持っている赤ちゃん用の服を見せる理沙。
「そうなんだ…」
理沙にお姉さんがいることは知っていたが、妊娠していたことは知らなかった。
理沙は普段から余り自分のことを話さないタイプだ。
俺も、特に聞くことはなかったからな…。
そのせいだろうか…今更だが、理沙のことを知っているようで、俺は何も知らなかった気がするよ…。