腕いっぱいに抱きしめて
そんな訳で、小さい頃はパパもママもあたしに凄く優しくしてくれてた。
だけど、いつだっけかな?
聞いちゃったんだ、パパとママの会話。
あれは、凄く寒い夜だった。
あたしは元々風邪引きやすい体質。
だから、あのときみたいに寒い夜は喘息を併発することも多々あった。
その日もそうだった。
鼻水が出て、咳が出て、熱が出て。
それでも、その日はママが仕事で疲れていたから、何も言わなかった。
だけど、体は正直なものだった。
「小百合?小百合!!目を開けなさい!」
気付いたら、あたし倒れてた。
そうして、そのまんま病院へと運ばれた。
時間は夜中だったから当然救急外来。
肺炎を起こしていたらしい。
すぐにあたし入院。
あたしはかすかな意識の中、ママとパパに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
せっかくのおやすみだったのに…。
ごめんなさい、パパ、ママ。
結局それから3日間眠り続けた。
目を覚ました時、ママが近くにいなくて不安になって探しに行ったのを今でも覚えてる。
でももしそのとき、探しに行かないで大人しく待っていれば、あたしの人生変わってたのかもね…。