腕いっぱいに抱きしめて



ナースステーションの方に行ってみる。


「ママ知らない?」


一人の看護師さんに聞いてみた。


「ママならお電話してるよ。小百合ちゃん、具合平気?」

「うん!ありがとう。」


あたし嬉しくて公衆電話のとこまで走って行ったんだよなあ。


そんで、ママ見つけて抱きつこう!って思ったのに



…出来なかったの。



だってママの顔が怖かったから。


陰に隠れて、ママの会話聞く事にした。


「はあ。本当あのガキ、最悪。あのガキのせいで派遣首にされたんだけど。悪魔だよ。あのガキは。……何、あのガキなら病室でスヤスヤと寝てるよ。本当、殺したくなるよ。ふんっ。んじゃ、パパさんも仕事頑張って。じゃあね」


…ガチャン


やべ!!


今ママにばれたらまずい。


子供ながらにも感じた。


点滴を引っ張りながらすぐに病室に戻った。


とりあえず寝ているフリをすることにした。


しばらくすると、ママが病室に入ってきて、あたしはいかにも今目を覚ましたみたいなフリをした。


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