漆黒の姫君
「ん・・・」


眩しい朝日が、アリスの顔を照らした。


アリスは、昨日届いたベッドから降りると、制服を手に取り、着替え始めた。


制服は、学校が宅配便で届けてくれた。


赤いリボンに、紺色のブレザー。黒のスカートに、緑の線が入っている。


―――やっと・・・。あの牢獄から抜け出せたのね・・・。


私は、自由になれたのね・・・。―――



『出てくる世界が・・・少し違ったけれど・・・。あんな牢獄よりか、大分マシだわ』



アリスは、長い髪をポニーテールにすると、その漆黒の髪に似合う、白いレースのリボンで結んだ。


ピーンポーン・・・


「来たわね」


玄関のチャイムが鳴り響いた。


「アリス。準備できた?」


「ええ」



「じゃあ、行こうか」


アリスは、部屋から出ると、鍵を閉めた。


外は爽やかな風が、吹いていた。


その風が、アリスの髪と純白のリボンをゆらす。




マンションから、10分程歩いたところで、学校と思われる、大きな建物が見えてきた。


「あそこが、白銀高校だよ」


「そう。着いたらまず、何をすればいいのかしら?」


「まずは理事長室。そこで、試験を受けてもらうんだ。・・・大丈夫?」


「何が?」


「いや・・・。勉強のこと・・・」


「・・・貴方に関係ないでしょ」


「関係って言うか・・・」


「その時はその時よ。とにかく連れて行って」


「わかった・・・」


俊介とアリスは、高校の理事長室へと向かった。



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