漆黒の姫君
「終わり。城崎さん、お疲れ様」


「ふぅ・・・」


「今日は帰ってもいいよ。今日のうちに、合格かどうか判定するよ。明日、また来てもらえると助かる」


「わかりました」



アリスが、靴箱まで行くと、俊介が来た。


ちょうど、授業が終わったようだ。


「アリス、どうだった?」


「わからないわ。とりあえず、書いてたけど」


『この調子だと・・・どうかな・・・?』


俊介は、少し不安に思った。


「今日は私、帰るから」


「あ・・・うん。また明日」


アリスは、俊介と別れた後、公園を訪れた。


公園には、誰もいない。


『誰もいない方が・・・落ち着く・・・』


アリスは、ブランコに腰かけると、歌を歌い始めた。


「♪~♪♪・・・」


この曲は、覚えている限りだけれど、唯一の私の思い出。


母が・・・よく歌っていた・・・。


アリスの母は、アリスが4歳のときにPandoraに拉致られ、死んだ。


その時に、アリスも共に連れてこられ、Pandoraで過ごすことになったのだ。


その後、魔力を持っていることが発覚し、そのままPandoraに閉じ込められることになってしまった。


『私には・・・思い出なんて・・・』



ガッ!


「うっ・・・」


頭部に鋭い痛みが走ったかと思うと、アリスは気を失った。



「!」


俊介は、何かを感じた。


「何だ・・・?今の・・・」


『まさか・・・アリス・・・?』





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