漆黒の姫君
「魔力・・・!?」


「俺さ、魔道士なんだ。だからコレ、使えるんだよね」


「やめろっ・・・!」


「あんたがトランプを差し出してくれれば、何もしないんだけど」


「トランプの在りかなんて知らない・・・ッ!」


「そ。じゃあサヨナラ」


アリスは目をギュウッと瞑った。


バンっ!!!


重い扉が勢い良く開く音がして、アリスとソラは振り返った。


「誰だ!」


ソラが叫ぶ。


「アリスっ!」


聞き覚えのある声。


「貴方は・・・!」


「何してるんだ!お前ッ」


俊介だった。


「何してるの!?貴方、逃げなさい!」


「この光景を見てしまった以上、僕は逃げない」


「何でこの場所がわかった!?」


ソラが焦る。それもそのはず。

              
この建物の周りには、『結界』が張ってあるからだ。


「何かに導かれるように、此処まで来たんだ。アリスの声が聞こえた気がして」


「ふぅ~ん・・・まぁいいや。二人まとめて処分してやる」



「アリス!」


「ッ・・・!」


俊介が伸ばす手に、アリスも手を伸ばす。


「王子と姫様、サヨウナラ」


ソラの手から、魔術が放たれる。


「もう駄目よ!貴方だけでも逃げて!」


アリスが叫ぶ。


「―――ッ!」


俊介は逃げようとしない。







そして――――
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