漆黒の姫君
「は?」


「だって、入学するためには試験があるんだ。高校だからね。皆、受験して入ってるから」


「そう。わかったわ・・・。でも」


「でも?」


「私、勉強なんてしたことがないわ」


「え!?」


そう。アリスは小さいころから、あの牢獄「Pandora」に閉じ込められていたからだ。


ろくに世話もされずに生きてこれたのは、自分に魔力があったから。


「そうか・・・。まぁ、とりあえず受けてみるだけ、してみなよ」


「・・・わかった」


とりあえず、受けてみる事になった。


そんなアリスを見て、俊介は思った。


『勉強とかしないで・・・。アリスは何処から来たんだ・・・?そして、あの傷に格好・・・』



「――ウ!・・・シュウ!シュウ!!!」


俊介は隣でアリスが怒ったように、叫んでいることに気付いた。


「あ、何?ゴメン、考え事してた」


「何処に、何時に、行けばいいのかしら」


「あっ、そうだった」


俊介は、アリスの言葉を聞くと、思い立ったようにアリスの手を引き、走りだした。


「なっ、何よ!」


「ちょっと、ついてきて。家のこと、すっかり忘れていたから」


「家!?」


そういえば、俊介が不動産を紹介してくれると言っていた。


そのことを思い出し、アリスは納得した。


「待って――。そんなに焦らなくてもいいわ」


「はぁ・・・はぁ・・・。そう・・・だね」


気がつくと、俊介の後ろにアリスがいたハズなのに、アリスが前に来ていた。


「貴方・・・。運動神経なさすぎ」


アリスがはっきりと言った。


「うっ・・・!ゴメン。あんまり普段走ることないから」


俊介は、体にアリスの言葉がグサッと刺さった気がした。


アリスの服は、ボロボロだったので、とりあえず、俊介の家まで行き、服を貸してもらった。


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