漆黒の姫君
――十数分後・・・

「お客様、お似合いですよ」


しばらくして、アリスが出てきた。


「どうかしら」


アリスの姿に、俊介は一瞬、見惚れてしまった。


色白の顔に、春らしい生地の服が、よく似合っていた。


「似合ってるよ。アリス」


「コレと・・・あ、あとさっきのも全部」


この会話から聞くと、十数分の間に、色々な服を着せられたようだ。


「ありがとうございましたぁ~」


俊介とアリスは、店から出た。時間を見れば、もう6時を回っていた。


「もうそろそろ、帰らなきゃね」


俊介が、時計を見ながら言った。


「マンションって、どっちの方だっけ?」


「いい。自分で戻れるわ」


「わかった。明日、迎えに行くから」


「じゃあ、さようなら」


アリスは、それだけ言うと、人ごみの中へと消えていった。
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