無能力者の空模様（スカイカラー）

第零話

無能力者の日常

先入観ってのは、大っ嫌いだ。

思考の幅が狭まるし、何よりも偏見に繋がる第一歩だと思う。


「……くそっ」


そんなことを思いながら悪態をつく一人の少年。


ここ超能力者養成島に住んでいるからには、無論彼も超能力者である。


しかし、彼は一般的に超能力と呼んでいるものとは、また一風変わった能力の持ち主だった。



超能力とは、人間が生まれ持つ潜在的な力であり、数十年前まではそれは自然的に発生する稀少なものだった。

しかし時と共に超能力者が徐々に増えると、凄まじい勢いで研究が進んでいく。


そして研究は超能力者増加に拍車を掛けるということ繰り返しで、年々その増加率も急激に上がっていったのだ。


やがて国が一つの島を作り、日本中の超能力者を集め、国の超能力的勢力を上げようという政策が決まったのはつい十年ほど前。


それは今や一つの都道府県並みに活性化した島となっていた。