無能力者の空模様(スカイカラー)
「……何の用?」

「用なんてないですよ。さぁ一緒に帰りましょ」

「やっべ、今日俺塾だった」

「先輩塾なんて行ってないでしょ! もう、何なんですか」


そう言って朱里は頬を膨らませる。そして親指と人差し指を伸ばし、銃の形にしてセイランに向けた。


「……脅迫か?」

「もうすぐ学期末のランク上げテストがありますよね? 私、Sランクに上がる自信があるんです」

「今、全力で能力発揮したら?」

「空の彼方へご招待します」

「やっぱり脅迫じゃねぇか!」


彼女の頼みを、そう簡単に断ることはできない。雨下朱里を殺人容疑で捕まらせるわけにはいかないから。


セイランは深いため息をつき、朱里と帰路を共にすることとなった。
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