無能力者の空模様(スカイカラー)
学校からセイランの家までは、電車に乗らなければならない。

学校の最寄り駅まで歩く最中、セイランは朱里の今日一日を聞かされていた。


そう、これがつらくてセイランは朱里を避けていたのだ。


「それでね、今日の体育のテニスで力んで打ったら能力使っちゃったみたいで、そのテニスボール島から出ちゃったみたい」

「それはそんな楽しそうに言う話じゃねーよな」


朱里との帰り道はため息ばかり。まあ元々人懐っこい性格だし、苛立つことはないから嫌ってるわけではないものの……どうも疲れる。

とは言っても、セイランにとって可愛い後輩のようなもの――これは本人に向けてセイランが絶対言えないことだが――だと思っている。


朱里が楽しかったらそれでいいか、と潔く割り切っているのだ。


「能力って言ったら、さっきお前Sランクに上がれるかもしれないって言ったよな? 何か根拠あんのかよ?」
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