無能力者の空模様(スカイカラー)
そのままずっと考え込んでいてくれたおかげで、今日はまだマシンガンのようなトークはましな方だった。


そして次はとうとうセイランが電車を降りる駅。逆に心配になってきたセイランは、思わず朱里に声をかける。



「根拠ないんだろ? もうそんな考え込まなくていいからさ」

「……すっきりしないの、嫌いなんです」

「あー悪かったよ悪かった! 俺が余計なこと聞いたばっかりに」

「先輩のせいじゃないですよ。ただ私は個人的に考えているんです」


こういうところは変に頑固。朱里はうーんと呻きながら頭を悩ませていた。




「……じゃあ、俺もう降りるぞ」

「あ、お疲れ様です」


電車の扉が開く。セイランは最後に、と振り向いた。


「お前……病気になるなよ」

「どっ、どういう意味ですか!」

「そういう風に明るい雰囲気の方が、お前に合ってるってことだよ」


いたずらっぽく笑みを浮かべるセイラン。やがて電車越しに手を振り、朱里と別れた。
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