無能力者の空模様(スカイカラー)
単にガラの悪い連中に絡まれただけだったが、そいつらが少し面倒な連中だったのだ。


「ようイケメン兄ちゃん。少し付き合ってくれねぇかい」

「……丁重にお断りさせてもらいます」

「まあまあ、そう言わずに。てか日本語上手いね」

「もしかしてハーフか?」


数人の男がセイランを囲み、路地裏まで上手く誘導している。

下手に抜け出そうとすると厄介だと感じたセイランは、とにかく口を開いた。


「今日は塾があって……」

「良い面してんじゃんか。どことのハーフ? アメリカ? フランス?」


どうやらこちらの言葉には耳も貸さないよう。

これらの質問に、セイランが答えることはなかった。
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