無能力者の空模様(スカイカラー)
「俺様の能力はな! Cランクの威力倍増能力だ! 能力使って殴れば、Cランクだから通常の二倍はダメージ受けるぜ」


勝ち誇ったように倒れ込むセイランに近付く男。


「そうか……それなら十分だ」


そう呟いて、倒れたまま男の足首に触れる。


男はセイランの手を振り払い、腕をぐるぐる回しながら尋ねた。


「何が十分なんだ?」

「……こっから逃げ出すのには、打ってつけの能力だって言ってんだよ!」


セイランは素早く立ち上がり、間髪入れず男の腹に拳を叩き込む。


残りの男達は、あまりに急な目の前の出来事に目を丸くしていた。


「これがあんたの能力のフルパワー……Cランクでも十分危険だな」


セイランが拳を振りほどくと、男は意識を失い力無く倒れてしまった。
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