無能力者の空模様(スカイカラー)
「お前、うちのリーダーの力を……」


男の一人が情けない声を出してたじろいだ。


セイランは両手をパンパン、と払ってからさらりと答える。


「ああ、コピーした」


男達にざわめきが走った。

まるで心霊スポットで実際の幽霊を見たような、半信半疑の不安げな様子が伝わってくる。


セイランは小さくため息を吐き、鋭く告げた。


「能力のないやつを、バカにすんじゃねぇ」


セイランが歩き出すと、男達は無意識に道を空ける。


「この馬鹿力男にも伝えときな」


最後にそれだけ言うと、セイランは男達の元を後にした。



――全くもって先入観は嫌いだ。


超能力の強弱によって偏見が生まれる……そんなことがあるだろうか。


これが、遠野セイランの日常。

この島では、無能力者はどこか社会でも浮いている。まるで、一般的社会での身体障害者のように。


そんな先入観の塊のような世の中で、誰もが生きているのだ。
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