新撰組~変えてやる!!

 「はいはい。で、俺はどんだけ寝とったか、わかるか?」

 「うん?えっとねぇ~…昨日倒れて、で今が昼だから、半日以上だね。」

 山崎はゆっくりと体を起こした。額に乗せていた手拭いが、布団の上に落ちる。

 「そんなに寝とったんか…副長逹にも、迷惑掛けてもたな…」

 「起きなくていいよ?今日は、休みだってさ。夜は、まだ熱もあったしね。風邪かもしれないから、休んで?」

 葵は山崎の肩を押して、再び布団に寝かせた。

 「俺はこれから副長逹に、知らせてくるから。…すぐ戻る。」

 葵は少し乱れた髪のまま、土方の部屋に向かった。土方の部屋の中から、話し声が聞こえる。…密談か?

 「失礼しますよ~?」

 「てめっ!!小宮!」

 案の定、部屋の中には土方以外にも山南と近藤がいた。土方は眉間に皺を寄せ、山南と近藤は驚きに目を見開いている。

 「…土方副長…今のご時世、“壁の物言う世”なんですから、密談ならちゃんと小さい声でしてくださいよ…長州の間者でもいたらどうするんですか?」

 「別にこれくれぇの内容、間者に聞かれても問題ねぇよ。それに山崎が目ぇ光らせて、監視してっからな。」

 葵は襖を閉めてから、土方達を前に正座で座った。

 「その“山崎”ですが、さっき目が覚めましたよ?もう一回、布団に押し戻しましたが…。で、何の話ですか?長州の間者に聞かれても問題ないということは、俺が聞いても構わないということですよね?」

 「んな!?なんでそうなるんだよ!」

 葵はニッコリと笑った。土方は小さく舌打ちする。

 「……処遇だよ。おめぇを昇格させる。いいか、よく聞け。これは今、近藤さん達と決めたことだ。…“総隊長”、新しい役職だ。まぁ、地位的には隊長以上副長以下ってとこだな。」

 「……ぇ……?」

 今度は葵が、驚いた。山南も近藤も、ニコニコと満面の笑みを葵に向ける。


 
< 103 / 209 >

この作品をシェア

pagetop