新撰組~変えてやる!!
「はいはい。で、俺はどんだけ寝とったか、わかるか?」
「うん?えっとねぇ~…昨日倒れて、で今が昼だから、半日以上だね。」
山崎はゆっくりと体を起こした。額に乗せていた手拭いが、布団の上に落ちる。
「そんなに寝とったんか…副長逹にも、迷惑掛けてもたな…」
「起きなくていいよ?今日は、休みだってさ。夜は、まだ熱もあったしね。風邪かもしれないから、休んで?」
葵は山崎の肩を押して、再び布団に寝かせた。
「俺はこれから副長逹に、知らせてくるから。…すぐ戻る。」
葵は少し乱れた髪のまま、土方の部屋に向かった。土方の部屋の中から、話し声が聞こえる。…密談か?
「失礼しますよ~?」
「てめっ!!小宮!」
案の定、部屋の中には土方以外にも山南と近藤がいた。土方は眉間に皺を寄せ、山南と近藤は驚きに目を見開いている。
「…土方副長…今のご時世、“壁の物言う世”なんですから、密談ならちゃんと小さい声でしてくださいよ…長州の間者でもいたらどうするんですか?」
「別にこれくれぇの内容、間者に聞かれても問題ねぇよ。それに山崎が目ぇ光らせて、監視してっからな。」
葵は襖を閉めてから、土方達を前に正座で座った。
「その“山崎”ですが、さっき目が覚めましたよ?もう一回、布団に押し戻しましたが…。で、何の話ですか?長州の間者に聞かれても問題ないということは、俺が聞いても構わないということですよね?」
「んな!?なんでそうなるんだよ!」
葵はニッコリと笑った。土方は小さく舌打ちする。
「……処遇だよ。おめぇを昇格させる。いいか、よく聞け。これは今、近藤さん達と決めたことだ。…“総隊長”、新しい役職だ。まぁ、地位的には隊長以上副長以下ってとこだな。」
「……ぇ……?」
今度は葵が、驚いた。山南も近藤も、ニコニコと満面の笑みを葵に向ける。