新撰組~変えてやる!!
「…今、……え?…ええっ!?」
「おいおい…そんなに驚くことか?平助に勝った実力は、俺逹もこの目で見てんだぜ?噂じゃぁ、斉藤と新見さん。更には芹沢さんにも勝ったっていうじゃねぇか。充分な実力持ってんだ。誰も文句なんざ、言いやしねぇよ。」
土方は呆れたように溜め息をついた。
「ぁ…ありがとうございます。」
「ただし!!」
土方は、葵の台詞を遮らんばかりの勢いで声を発した。土方の目は、真剣そのものだった。
「おめぇには、剣撃指導も任せる。いいな?頼むぞ。」
「もちろん!任せてください。」
葵はニコッと笑い、土方の部屋から出たのだった。
葵が出て行った後の部屋で、山南は小さく溜め息をついた。
「本当に…よかったのでしょうか…いくら大人びて見えても、葵君はまだ子供なのですよ?ましてや、彼女は“女性”です。いくらなんでも荷が重過ぎるのでは?」
「…じゃあ、どうすればよかったんだ?あいつがあんな風に相談してきたのは初めてだったんだぞ?今、あいつの手ぇ離したら、後できっと後悔する。…それなら、願いを叶えてやりてぇじゃねぇか。俺は、あいつに何かしてやりてぇんだよ。いつも、悲しそうに笑うあの顔を、本気で笑わせてみてぇんだよ!!」
感情的になった土方は、バンッと荒々しく畳を叩いた。その反動で彼の無造作に纏められた髪が幾筋も落ちる。
「土方君…君は、本当に不器用ですよ…本当に……」
「ぅ、うっせえ!!」
山南の言葉に、今度は顔を赤くして一度山南を睨み付けるように見てから荒々しい足音を残して去って行った。
「…少し、言い過ぎましたかな…どう思います、近藤さん?」
「ハハハッ…歳は怒っているわけじゃないと思うが。…多分、照れ隠しだろう。」
山南は、土方が去って行った方を見つめて、少し微笑んだ。