新撰組~変えてやる!!
「ぁ…これ、自分…?」
「せやで?そんじょそこらの娘っ子なんか目でもないわ。」
山崎の言葉は葵の耳には入らなかった。葵はただただ自分の変貌ぶりに驚いていたのだ。
「…………」
髪には、芹沢からもらった簪がついている。
「葵、一回副長のとこ行くで!」
山崎は葵の腕を引っ張り、立ち上がらせた。葵はただ茫然としたまま、ついていっていた。
「副長、山崎です。…今、よろしいですか?」
「ん?あぁ…入れ。」
山崎の声変わり仕切っていない、それでいて凛とした声が響く。
「失礼します。」
山崎は葵を中に押し込んでから周りを確認し、自身も中に入った。土方が振り返ると同時に目を見開く。
「………小宮…か?」
「はい。」
こういう時の土方の観察力は侮れないと思う。葵自身、自分だという実感が未だに持てていないのだから。
「あの、出掛けてきてもいいですか?お梅さんと雫さんに、手紙を…渡したいのですが…」
「…いいだろう。山崎、ついて行ってやれ。女一人じゃ何かと面倒だ。」
土方の耳が少し赤い気がしたが、確認する前に山崎が話し出した。
「…了解しました。ほな、行ってきますわ!!」
「おぉ…ぁ、小宮…“あの三人”には気をつけな。」
葵は深く頷いた。“あの三人”=“原田、永倉、斉藤”だろう。あの三人は洞察力に優れているから。
「はい。気をつけますね。」
葵は山崎に誘導され、人の少ない道を選び、町へ出たのだった。