新撰組~変えてやる!!
「不思議に思ったんですが、雫さんと知り合いなんですか?」
「ちゃうよ?手紙に書いとったんや。“何かあったら頼れ”って…どんな人やの?」
葵はお梅を立ち上がらせるように手を差し伸べた。
「…芹沢局長らしいですね。雫さんは、芹沢局長が壬生浪士だったころに助けた女性ですよ。案内します。」
「ありがとう…」
葵の手を取ったお梅はとてもきれいで、芹沢が惚れた理由がわかった気がした。
「幸人、行くよ?」
「ん?………ああ…」
山崎は“幸人”と呼ばれたことに間抜けた返事を返した。
「お梅さん、紹介しておきますね。こちらは新撰組隊士の“林 幸人”です。」
「えっと……林…です。」
山崎は名乗ることに違和感があるように言葉少なに名乗った。
「林はん…お初にお目に掛かります。梅どす。どうぞよろしゅう…」
「…こ、こちらこそ…」
こんな風に、山崎がしどろもどろになるのは珍しいだろう。監察方ではいつも冷静で的確な判断をしなければならないから。葵はクスッと小さく笑ってから歩き出した。
「あの~…雫さん、…いらっしゃいますか?」
葵は遠慮がちに軒先から、雫に声を掛けた。
「はいよっ!!入ってきなよ!」
やっぱり返ってくるのは、威勢のいいいつも通りの返事だった。
「お梅さん、入りましょう。幸人も!!」
「ぉ、おぅ………」
葵が先頭を歩き、3人は店の中へと入っていった。3人の顔を見た雫は不思議そうに3人の顔を見る。
「新撰組の芹沢局長より手紙を預かっています。ぁ、紹介が遅れました。こちらは芹沢局長の愛人の“お梅”さんで、こっちが新撰組隊士の“林 幸人”さん」
「で、小宮っと……」
雫はニッと人当たりのいい笑みを浮かべる。一方葵は困惑した。