新撰組~変えてやる!!
「小宮だろ?」
「…どうして、そう思うのですか?」
葵は“雫には言っていないはずだ”と思いつつも、冷静を装って尋ねた。
「…今まで、ここに訪ねて来たのは芹沢と新見と小宮だけだ。でも2人はもういないはずだしな。」
「………敵いませんね…」
葵はふっと自嘲気味に笑い、手紙を渡した。雫はそれを読み、お梅の方を見た。
「お梅…だっけ?アタイと一緒に暮らしてみるかい?見ての通り、町から離れてるし、不便な所だけどこんな場所でも“住めば都”ってな。これから得意先を作っていかなきゃなんねぇし金に困るかもしれないが、それでも…いいなら…」
「…ええんどすか?うちがおって…」
お梅は申し訳なさそうに眉を寄せる。
「もちろんさ!!」
雫は満面の笑みをお梅に向けた。その笑顔にお梅もつられて笑った。
「ほな、いさせてもらいます。」
「しっかし、どうやって儲けよ~な~…アタイが作れる物は限られてるし…」
雫は目を瞑り、考え出した。それにつられ、お梅も考え出す。案外この2人は馬が合うようだ。
「…雫さん、簪なら作れるじゃないですか。呉服屋の着物に合わせて簪も作れば、呉服屋も儲かりますし、雫さん達も儲かるのでは?俺の知り合いに1人、呉服屋で働いている娘さんがいますよ。」
葵はニコッと笑った。雫とお梅は互いに顔を見合わせてから、葵に向き直った。
「…それ、乗った!でももう少しだけ考えたい。から、決めたら新撰組の屯所へ行く。それでいいか?小宮…」
「もちろん。では、今日のところは帰ります。お梅さんはどうします?今日は帰りますか?」
葵は首を傾げた。
「う~ん…雫はん、泊まってもええ?1人やと心細いから…」
「もちろん!こんな狭くてよかったら!!アタイも淋しいし……」
お梅は嬉しそうに微笑んだ。
「じゃぁ、今度引っ越し手伝いますね。手が開いている時にしますから。」
「いいよっ!アタイがやっとくから。もう暗くなるよ。早く帰りな。」
雫はニッと笑った。