新撰組~変えてやる!!
「そうですか?……まあ、いつでも頼ってくださいね!今日は帰ります。お邪魔しました。帰ろ、幸人!!」
「ぉ、おお!!」
葵は雫達に微笑んでから出て行った。茜色に染まる道を、2人は肩を並べて歩いていた。山崎がくしゃみをする。
「大丈夫?まだ本調子じゃないのに、連れ出して悪かったね。」
「平気や。それより、雫やったか?威勢のええ女やな。度肝、抜かれてもたわ。」
葵もそれに頷く。
「そうそう。初めて会った時は驚いたよ。“この時代にこんな威勢のいい女がいるなんて!!”って。」
「せやろ~なぁ…ぁ、しもた…表に来てもたわ…」
山崎の声に辺りを見回すと、確かに屯所の前だった。ついでに、運の悪いことに門番をしていたのは一般の隊士ではなく、永倉と斉藤だった。
「あれ?山崎じゃん。」
そう言って声をかけてきたのは永倉だった。
「…っと……何?その子…もしかして山崎のこれ?」
そう言って、小指を立てた。
「ちっ、違います!!」
「じゃあ、何?」
全力で否定する山崎とそれをからかう永倉。この2人も、意外と馬が合っているのかもしれない。
「でもさ~…どっかで見たことある顔なんだよね~……ね、君、どっかで俺と会ったことない?」
「え?ぁ~……ないです!」
葵は山崎の後ろに隠れながら答えた。
「ほ、ほな、ふ、副長に会わせなあかんから、俺、行くで?」
「はいはい…飯の時間になったら、誰かに呼びにくるよう言っといてくれなっ!!」
山崎は2人から葵を隠すようにしながら土方の部屋へと向かった。