新撰組~変えてやる!!

 「…小宮流、流水…」

 葵は沖田を目掛けて、木刀を振り下ろした。沖田は素早く反応し、葵の攻撃を防いだ。

 「…へぇ~…流石、平助に勝っただけありますね…。でも、この力じゃ、私には勝てませんよ。」

 沖田は一度木刀を引き、突きを繰り出した。

 「………ぁ、有り得ない…あの距離からの突きをかわすなど…」

 「あぁ…あんな突き、兄のものに比べれば、赤子のようですよ。」

 葵は妖艶な笑みを浮かべ、もう一度下段に構えた。

 「小宮流の極意は動作の素早さ。元々は身を守るためだけの流派。ただ……」

 葵は木刀を目の高さまで上げ、そのまま沖田でも目掛け、突進した。狙うのは心臓の辺り。

 「急所を確実に捉える技が多いだけですよ。…お見事。」

 沖田は葵の木刀を体に届く寸前で止めていた。ただ、沖田の纏う空気が変わる。おそらく本気になったのだろう。

 「あなたのように強いお方が、こんなに近くにいたとは……ふふっ…もっと早くに知っておきたかったですね…私の得意技をお見せしましょう。」

 葵は沖田から、一歩離れた。間髪入れずに沖田が踏み込む。

 「……っ!?」

 一度の踏み込みで攻撃された回数は3回。なんとか防いだ葵は冷や汗が流れ落ちていくのを感じた。剣先はかすれて見えないほどだった。

 「…“三段突き”……」

 「あれ?知っていましたか。この突きをかわすことができたのは、あなたが初めてですよ。」

 葵は、先程の沖田と同じように構えた。

 「…では、2人目を作りましょう。」

 葵は沖田と同じく、見よう見まねの“三段突き”を繰り出した。

 「ぅ、わわっ!!」

 「ん~…やっぱり、初めてだとうまくいきませんね。」

 葵の“三段突き”は木刀の先が、辛うじて見えるほどのスピードだった。


 
< 119 / 209 >

この作品をシェア

pagetop