新撰組~変えてやる!!
「すっごい軽かった!葵、これからはちゃんと食べなよ?葵はさ、こ~んなにたくさんの人に、“大切だ”って思われてるんだよ?もちろん僕も、その一人!ぁ、運んだのは僕だから、気にしなくていいよ。」
藤堂は目を細めて笑った。
「ありがと…そうだ、沖田さんは!?俺、謝んないと…」
「大丈夫だよ。総司は自室にいる。山崎が見張ってるから確実だよ。」
葵は布団から起き上がった。頬にあてられていた布が滑り落ちる。
「葵、まだ寝てなよっ!!総司は後回しでもいいからさ…」
「そうだ。今のあいつに必要なのは冷静になることだ。」
葵と藤堂はいきなりの声にビクッと肩を揺らした。当の本人は大きなあくびをしている。
「土方副長…いつから起きていました?平助、副長、さっきまで寝てたよね!?」
藤堂はぶんぶんと音が聞こえそうな程、首を縦に振った。
「今起きたとこだ。別にそんな驚くことでもねぇだろ?そだ、平助…お前、料理できる方だったな。粥、作れるか?」
「え?ぁ~……たぶん…」
藤堂は不安そうに答えた。
「なら作ってくれ。一人分で十分だ。なんなら、誰かひっぱたいて起こして連れて行ってもいいぞ?責任は俺が取ってやるからよ。」
「いや、一人で十分。じゃ副長、作ってくるよ。」
藤堂はぱたぱたと走って行った。
「どうだ?ちゃんと食べてねぇからすぐぶっ倒れんだぞ?今日は粥だから食えるだろ?ちゃんと食えよ。」
「え?あれ、俺のために作らせてるんですか!?」
葵は言ってから口を押さえた。思わず大きな声が出た。
「食事、全然食べてねぇらしいな。あいつらから聞いたぞ。それ聞いて近藤さんが看病するとか言い出したんだ。本当に、いい迷惑だぜ……」
「…す、すみません……」
土方は手元にあった箱を引き寄せ、中から一つ取り出した。
「ほれ、“石田散薬”だ。」
「いりません!!今回は怪我とか、してませんから!」
葵は土方の手にある薬を、彼の手ごと押し返した。