新撰組~変えてやる!!
葵は永倉の“頼れ”という言葉を嬉しく思う反面、戸惑っていた。明らかに困惑の表情を浮かべている葵を、永倉は不思議に思った。
「どうした?そんな困ったような顔してよ…なんか俺、変なこと言ったか!?」
「ち、違うんだ!!俺は、人に頼るのが怖い。ただ、それだけ。俺がおかしいんだよ。」
そういって葵は微笑んだ。永倉にはそれが悲しみ、泣いているように映った。
「なんで怖いんだ?」
「簡単に言いますと、親戚からの暴力が原因ですね。今はまだ、誰にも話したくないんですよ。戻りましょうか。」
葵は無理やり話を終わらせ、飛び出してきた部屋へと急いだ。
「葵!!心配したんだよ!?この部屋、飛び出してったっていうから…」
「ごめん…俺は、平気だからさ!なっ!?平助、泣いてんのか…?」
葵は左手を藤堂の肩に、右手を頭へと乗せた。
「ち、ちげぇもん!!目に塵が入ったの!!」
「そう…まあ、どっちでもいいよ。心配してくれてありがとう。」
葵は藤堂の頭を優しく撫でた。
「う~…僕、かっこ悪ぃじゃん…でも、なんか安心する。って、違う!……かっこ悪ぃ……」
葵は藤堂に微笑んでから離れた。
「先程は取り乱し、申し訳ございませんでした。」
「…いや…別に気にしてねぇよ。」
葵は土方に頭を下げた。部屋にいたメンバーはすでに皆起きていた。
「葵!!粥、作った。味は保証できないけどね…ほら、口開けて?」
「いいよ!自分で食べれるって!!」
葵はいきなり粥を口元に運んできた藤堂に戸惑った。どんどんと近づいてくる藤堂に後ずさっていると、後ろから体を固定された。
“…あれ?こんなこと、前にもあったような…”
「平助、口に入れてやれ。」
案の定、葵の左上から降ってきた声は土方のものだった。
「またか……」