新撰組~変えてやる!!

 朝食終了後土方の部屋に集められた幹部達は皆、魂を抜かれたのではないかと思うほど焦心していた。

 「では改めて自己紹介します。今日より新総隊長となりました。小宮 葵!!16歳です!えっと…最年少幹部となりました。俺の方が歳は下でも命令には従ってくださいね。その命令ひとつで助かる命もたくさんありますから!今日からよろしくお願いします♪」

 葵はいつも以上に嬉しそうに笑った。

 「…よし、…仕事はちゃんとしろよ。以上、解散だ……」

 幹部達はふらふらと土方の部屋から出て行った。

 「副長!!あの、今日の剣術指導、俺がしますね。ぱっつぁんには休んでいいって言っておいてください!じゃ、俺は準備しておきますから!」

 そう言って葵は鼻歌を歌いながら道場へと歩いて行った。

 「教えるのなんて何年ぶりだろ…2年くらい前はまだ小学生に教えてたっけな~…腕は鈍ってないし、大丈夫かな。あとはひとりひとりの力量測ってそれぞれのメニュー組めば、開いてる時間に練習できる。で、伸びそうな人は上達させてあげなきゃね…うゎ~…なんか楽しみ…」

 葵は木刀を振りながら呟いていた。床には竹刀が20本転がっている。

 「あのっ!!稽古、に来ました。浅野 藤太郎です。」

 浅野 藤太郎<アサノ トウタロウ>と名乗った二十歳過ぎくらいの男性はキョロキョロと目を泳がせながら話しかけてきた。

 「浅野さん、ですね。おはようございます!!この間まで芹沢局長の小姓やってました、小宮 葵です。」

 「し、知ってます!せ、芹沢局長や新見副長…それから昨日は沖田先生に勝った方ですよね!?うわぁ…本物だ。」

 そういって浅野はキラキラとした目で葵を見つめた。

 「…えっと…とりあえず竹刀1本持って素振りしててくださいね。」

 「はい!!」

 浅野は言われた通りに素振りを始めた。朝食を終えた隊士達が次々と道場へとやってきた。その人に素振りをしておくように言い、やがて18人になったところで葵は皆に声をかけた。

 「おはようございます。総隊長の小宮 葵です。今日は皆さんの指導をします。まず、2人1組になって。まずはそれぞれの力量を測りたいの。」

 「え~…聞いてないですよ。それに、今日の指導は永倉先生じゃないんですか?」
< 126 / 209 >

この作品をシェア

pagetop