新撰組~変えてやる!!

•3 仲間


 「今日の指導は俺です。副長からは朝に説明したと聞きましたが…」

 「確かに説明は聞きました。けれど、あなたのように弱そうな方とは存じておりません。故に、私はあなたの指示に従うつもりもありません。」

 葵はキョトンとそう言った相手を見つめた。

 「馬鹿!金ちゃん!!“天女様”だぞ…弱いわけねぇだろ!!」

 「嘘だろ!?良ちゃん!!こいつがあの芹沢局長に勝った奴か!?」

 “良ちゃん”と呼ばれた男は“金ちゃん”と呼ばれた男の頭を持って一緒に頭を下げた。

 「すんません!!俺は宿院 良蔵<シュクイン リョウゾウ>。こいつは中村 金吾<ナカムラ キンゴ>と言います。金ちゃんの無礼、俺に面じてお許しください!!」

 「いや、気にしてないよ。だから頭上げてくれるかな?」

 2人はおずおずと頭を上げた。そんな2人に葵はにっこりと笑った。

 「さて、みんな、俺がさっき言ったことは覚えてるね。2人1組になって、準備ができたら攻撃してきて。自主練習ができるような練習法、それぞれに作るからね。」

 「はいっ!!」

 道場には、威勢の良い声が響いた。




 18人全員の練習法が決まり、それぞれが言われた通りに動いていた。

 「浅野さん、中村さん、宿院さん、林さん。少し、よろしいですか?」

 「はい!!」

 葵が声を掛けたことで4人の隊士が駆け寄ってきた。

 「なんでしょうか、小宮先生。」

 声を掛けてきたのは浅野。先程まで熱心に稽古していたことから見ると、真面目な努力家のようだ。

 「先生はやめてください。えっと…林さん、剣術を始めたのはいつですか?」

 「えっと…半年ほど前のことです。それがどうかしましたか?」

 林と呼ばれた人物は不思議そうに葵を見上げた。

 「それでそこまでの腕とは、驚きましたね…。けれど、まだ型が定まっていませんね。今からなら、まだ間に合うかな…」

 「…?」

 林は訳がわからないといったように首を傾げている。

 「それから、宿院さん、中村さん。稽古は自主練習してますか?」

 「はい。」

 2人は同時に頷いた。


 
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