新撰組~変えてやる!!

 葵は町中を歩いていた。そこで、ふとした疑問を斉藤に訊ねた。

 「それにしても、一が左之達と一緒にいるなんて珍しいな。どうして?」

 傍目から見ればいつもと同じ無表情だったが“うっ…”と言葉に詰まった斉藤は、明らかに動揺していた。

 「こいつな、蕎麦好きなんだ。外で食べる時は殆ど蕎麦屋にいるぜ。しかも大食いだ。意外だろ?」

 「な、永倉さん…何もそこまで言わずとも……」

 斉藤はばつが悪いといったように赤面した。本当に珍しい。

 「蕎麦好きか…いいんじゃない?ちょっと意外だったけどさ。」

 「そ、そうか…?」

 葵はニコッと笑った。

 「…にしても、何?視線が痛い。…なんか、悪いことした?居心地悪い。」

 「まあな…見られててもいつもは気にしないけど、今日は多過ぎるな。」

 藤堂の言葉で場の空気が変わった。

 「撒くか?ってか、撒けるか?」

 永倉が声を潜めて言った。原田と斉藤が無言で頷く。

 「…なら、いつもの場所な。」

 永倉の言葉に原田と藤堂が頷く。

 「斉藤は俺と、葵は平助とな。」

 原田が後ろを振り返りながら言う。葵は訳が分からないまま頷いた。

 「よし……今だっ!」

 原田の声で3方向に分かれた。葵は藤堂に手を引かれるまま、走った。




 「はぁ…はぁ…うまく……撒けた、みたい、だね。あ~…今日のはしつこしかしった~!!」

 「…疲れた……」

 葵と藤堂は川沿いの道に座り込んだ。葵は太陽の光できらきらと輝く川をただ見つめた。

 
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