新撰組~変えてやる!!
宴会場に決まったのは島原のある一店だった。葵は留守番をすると言ったが、原田や永倉、藤堂に“主役がいなきゃ始まんねぇだろ”と言われ渋々ついて行ったのだった。
「…………帰ってもいいですか?」
葵は完全に酔った土方に問い掛けた。
「何言ってやがんでぇ…おめぇらの為に開いてやってんだろーが。もっと楽しめよ~、な?」
土方は遊女2人に挟まれている。対する葵は5人。
「…あの~…離れてください。俺、体触られるの、苦手なんですよね…」
葵は土方が怒る時にするように、声を潜めて言った。が、逆効果だったようで遊女5人はさらに体に触れてくる。
「いーなー…葵!!1人渡せ!」
酒に酔っているせいで顔を赤くした永倉が寄ってきた。
「1人と言わず、5人ともどうぞ。俺は風に当たってくるから。ぱっつぁん、後は頼んだよ!」
葵は永倉に彼女達を押し付け、早々に部屋を出た。
「…全く、困ったなぁ…あの部屋には戻りたくないや。」
「せやろなぁ…あんなにたかられたら、男の俺でも嫌やわ。」
葵は横から聞こえた声に驚き、刀に手を掛けた。
「ま、待ち!!俺や!」
雲に隠れていた月が姿を現したことで、辺りが少し明るくなる。月光に照らされた男の顔は焦っていた。
「なんだ…丞か……こんな所でどうしたの?」
葵は刀に添えていた手をどけ、山崎に向き直った。
「俺も風に当たりに来たんや。ここは些か疲れるさかい。」
「そうだね。でも帰っちゃ駄目だって副長に言われたしね。もう少し我慢して、あそこに残るよ。」
葵はぐっと背伸びをした。
「丞はどうする?一緒に戻る?」
「せやな~…俺はもう少し風に当たってから戻るわ。」
葵はニッと笑った。
「じゃ、先に戻ってるね。」
葵は山崎に手を振り、部屋へと戻った。