新撰組~変えてやる!!

 「……とは言ったものの、やっぱり入りたくないな~…」

 部屋の前まで来ているというのに葵は立ち往生していた。その時耳元でチャッと音がしたかと思うと冷たく鋭利なものが首に当たった。

 「…………何をしている…」

 葵はその声に驚いた。

 「…一!?何で俺に刀向けてんだよ。」

 それでも当てられた刀はピクリとも動かなかった。

 「あれ~?斉藤さ~ん、何してるんですか~?」

 その時、やけに間伸びした声が耳に入ってきた。

 「沖田さん!!助けて!!」

 葵は救世主が現れたと思った。

 「斉藤さんだけ楽しもうなんてずるいですよ~!!私も混ぜてください。」

 葵は自身の耳を疑った。だが、視界の端に入った沖田が刀を握っているのを見て、サッと血の気が引いていった。その時、ガラッと目の前の襖が開いた。

 「おい、入るんなら……」

 「副長、助けてください…」

 葵は目の前に現れ、目を見開き固まった土方に助けを求めた。

 「…小宮……ぁ、成る程…」

 一瞬で状況を理解した土方が大きく息を吸い込んだ。

 「総司!!斉藤!!いい加減目ぇ覚ませ!」

 土方はそう大声で叫んでから、それぞれの頬に痛そうなビンタをした。

 「あれ?土方さん、どうしたんですか?私、何かしていました?」

 いつも通りの態度に戻った沖田に、土方は沖田の右手を指差した。

 「……俺は何を…」

 ほぼ同時に正気に戻った2人は慌ててその手から刀を落とした。そして慌ててそれを拾い、鞘におさめた。

 「ごめんなさいっ!!」
 「すまんっ!!」

 沖田と斉藤の謝る声が見事に重なった。

 
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