新撰組~変えてやる!!
「すごい…きれいですね。」
雫とお梅は満足げに笑った。
「だろ!!梅の案なんだ。梅な、すんごい趣味いいんだぜ。」
「いえ、雫の腕がいいんよ。」
雫とお梅は互いに笑い合った。華やかな物から品のある物まで、種類は様々で見ている方が楽しくなった。
「さて、行きましょうか?一刻しか休みがないので急ぎましょう。」
葵は腰にある刀を確認してから歩き出した。目指すは呉服屋。
「失礼します。お露さん、いらっしゃいますか?」
「へぇ、ここに…まぁ、小宮はん。お越しやす~♪」
来たのはこの時代に来て初めて土方と来た呉服屋。芹沢一派とも来たことがあった。
「あの、今日はお願いがあってきたんです。お時間頂けますか?」
お露は辺りをキョロキョロと見回し、他の客がいないことを確認してから頷いた。葵は2人を招き入れた。
「あら?お梅はんやない?向こうの方にある呉服屋の……」
「今はもう、離縁しました。…芹沢はんが…新撰組の局長やったあの人に、助けてもろたんよ。」
お梅は複雑な表情で話した。
「そう……あの御人がなぁ…ぁ、小宮はん、話って何です?」
「あぁ、俺が提案するのも変な話なんですが、呉服屋で簪なんかを売ってみないかなぁと思いまして。ほら、女性って着物に似合う簪とか、見つけるの大変じゃないですか?なら、似合うような簪も一緒に売れば、呉服屋での売り上げも上がると思ったのですが…。」
葵はお露に微笑みながら言った。
「成る程…けれど、職人の方はどうするんですか?私には、そんな知り合いがいませんし…」
「アタイが作るので良かったら、力になるけど。アタイ、こう見えても簪とか作れるから。」
雫が人当たりの良い笑顔でお露に言った。お梅もうんうんと頷く。
「…雫さん、取り敢えずお露さんに見せてはいかがです?」
葵の言葉に雫は頷き、手に持っていた風呂敷を近くにあった台の上に置いた。