新撰組~変えてやる!!
•3 入隊
道場の中には、5人。案内された葵、葵を案内した永倉、木刀を持った土方、道場の壁にもたれ掛かる近藤、そして見知らぬ人物が1人。葵が、不思議に思いその人物をみていると土方が葵に木刀を渡した。
「試験は、1対1の一本勝負。審判は俺が―」
「軽い……」
「ァア!?」
土方は、葵の言葉に驚いた。“この道場においている木刀は、普通のものよりも重いはずだ”と。土方が、そう断言できるのは、彼がこの木刀を集めたからだ。その木刀を“軽い”と言われたのだから、土方の逆鱗に触れたのはいうまでもない。が、土方はそれでも悪戯を思いついた子供のような笑みを浮かべていた。
「ふん…なら、俺のを貸してやる。」
“俺の木刀が持てるわけねぇ。見栄を張ることができんのは、今のうちだ。”
土方が、そんなことを考えているとは露知らず、葵は木刀を取りに行った土方の背中を見送った。土方がまだ、葵の実力を知らない頃だ。
土方が持ってきた木刀を軽々と素振りした葵に土方は、内心舌を巻いた。自分の木刀の重さは、土方自身がよく知っていたからだ。そんな様子の土方に気付かず葵は土方に話し掛けた。
「土方さん、始めないのですか?」
土方に再び、不敵な笑みが浮かぶ。土方は、試合の相手に藤堂を選んでいる。藤堂は、年少のわりに剣術などに長けていた。藤堂への信頼が、土方の不敵な笑みをつくっていた。
「コホン…では、これより小宮 対 藤堂の-」
「えっ!?とっ、藤堂 平助!?うっそ!」
「………?」
土方に青筋が浮かぶ。しかし、藤堂の観察に夢中になっている葵は気付いていない。
「あの………小宮さん、でしたっけ?試合を始めませんか?」
「ぁ………す、すいません。ひぃ!土方さん!?か、顔が鬼…!!」
「おい…小宮……」
「す、すいませんでした…」
土方は怒りをおさめるように大きく息をついた。そして再び口を開いた。
「これより、小宮 対 藤堂の試合を始める。」
土方が左手を上げたのを確認して、葵はあと1歩で間合というくらいの所で下段に構えた。この場に居る葵以外の者は知る由もないが、この位置が小宮流の間合の位置であった。土方は、両者が構えたことを確認して、左手を振り下ろした。
「試験は、1対1の一本勝負。審判は俺が―」
「軽い……」
「ァア!?」
土方は、葵の言葉に驚いた。“この道場においている木刀は、普通のものよりも重いはずだ”と。土方が、そう断言できるのは、彼がこの木刀を集めたからだ。その木刀を“軽い”と言われたのだから、土方の逆鱗に触れたのはいうまでもない。が、土方はそれでも悪戯を思いついた子供のような笑みを浮かべていた。
「ふん…なら、俺のを貸してやる。」
“俺の木刀が持てるわけねぇ。見栄を張ることができんのは、今のうちだ。”
土方が、そんなことを考えているとは露知らず、葵は木刀を取りに行った土方の背中を見送った。土方がまだ、葵の実力を知らない頃だ。
土方が持ってきた木刀を軽々と素振りした葵に土方は、内心舌を巻いた。自分の木刀の重さは、土方自身がよく知っていたからだ。そんな様子の土方に気付かず葵は土方に話し掛けた。
「土方さん、始めないのですか?」
土方に再び、不敵な笑みが浮かぶ。土方は、試合の相手に藤堂を選んでいる。藤堂は、年少のわりに剣術などに長けていた。藤堂への信頼が、土方の不敵な笑みをつくっていた。
「コホン…では、これより小宮 対 藤堂の-」
「えっ!?とっ、藤堂 平助!?うっそ!」
「………?」
土方に青筋が浮かぶ。しかし、藤堂の観察に夢中になっている葵は気付いていない。
「あの………小宮さん、でしたっけ?試合を始めませんか?」
「ぁ………す、すいません。ひぃ!土方さん!?か、顔が鬼…!!」
「おい…小宮……」
「す、すいませんでした…」
土方は怒りをおさめるように大きく息をついた。そして再び口を開いた。
「これより、小宮 対 藤堂の試合を始める。」
土方が左手を上げたのを確認して、葵はあと1歩で間合というくらいの所で下段に構えた。この場に居る葵以外の者は知る由もないが、この位置が小宮流の間合の位置であった。土方は、両者が構えたことを確認して、左手を振り下ろした。