新撰組~変えてやる!!
•6 熱
特に目立ったこともなく、見回りは無事に終わった。その頃には皆の二日酔いも治まっていた。
「葵!!初仕事、お疲れさん。大変やったやろ~…、…?葵、なんや、顔赤ないか?暑いんか?」
「別に?何で?」
葵はいつも通り、山崎の隣に座った。そしていつも通り、斉藤や原田達が集まる。
「…大丈夫やったら、ええんやけど…」
山崎は腑に落ちないといったような表情をしていた。山崎の心配を余所に、葵は食事を完食した。
「……珍しいなぁ…葵が全部食べるなんて…」
山崎の言葉に斉藤や原田が頷く。
「だってさ…副長が……」
葵の視線の先には、睨むようにして葵を凝視する土方の姿があった。
「な~る程…それで、か…。葵も大変やな~…」
「本当に……じゃ、部屋に戻る。なんか冷えてきたし。」
葵の発言に、山崎は怪訝に思った。そしてある結論に辿り着く。しかし、その時にはもう遅かった。
「葵!?」
永倉の慌てたような声に勢い良く顔を上げると、目に映るのはゆっくりと体が傾いていく葵の姿。山崎は一瞬で立ち上がり、持ち前の足の速さを生かして、間一髪葵の体を支えた。
「葵!!ちょっ…体、熱過ぎやろ……なんでこないなるまで我慢すんねんな…無理し過ぎや、ド阿呆…」
山崎の声に、葵は反応しなかった。異常に気付いた土方が韋駄天走りで葵の元へとやってくる。
「山崎、小宮に何があった…」
「俺にもよぅ分からん。…無理のし過ぎやと思うで。とりあえず、寝かせとけば回復すると思います。」
山崎は葵の体を抱え上げた。ふわっと簡単に浮く軽い体も、今はぐったりとしているためか重く感じた。
「山崎、……頼んだぞ…。」
土方の心配そうな声に、山崎は大きく頷いた。