新撰組~変えてやる!!
「……ここは、どこだろ………」
葵は足元さえも見えない暗闇の中、どこかに光はないかと思い、歩き始めた。
「…あれは……?」
しばらく歩いていた葵はキラッと一瞬だけ鋭く光った場所を目指し、走り出した。すると再びキラッと鋭く光った。
「…何?……刃物!?」
近くに寄ると鋭く光っていたものは刃物だと分かった。その光に夢中でさらに一歩近付くと、パシャッと水音がした。
「…何、これ……」
葵は、足の裏にまとわりつくようについた水に動けなくなった。その水の正体はその後の強烈な匂いによって明らかになった。
「……鉄、の匂い……血、なのか…?」
暗闇に慣れてきた目で辺りを見渡すと、そこには血の海が広がっていた。
「…嫌だ……何だよ、これ…」
葵はゆっくりと歩き出した。その度に水音がやけに響く。それに加えて、どんどんと強くなる鉄の匂い。葵は来た道を振り返った。その時、葵の目に血まみれで葵に近付いてくる人影を見た。ズルズルと体を引きずるようにして近付いて来たその人影に、葵は見覚えがあった。
「…ぁ……」
その人影が初めて殺してしまった者だと分かったと同時に、その手が葵の足首を掴んだ。
「…ぃ、嫌…だ……嫌!!」
葵は無理やりその手から逃れ、走り出した。走る度に血が顔にかかる。それを拭おうと一度立ち止まった。
「…何…ここ……」
葵は顔についた血を着物の袖で拭った。しかし、目を開けた次の瞬間、葵は狂ったように笑いながら刀を振り下ろしてくる自分自身を見た。
「…ッ!?」
葵は息を詰めた。そしてその衝撃に備えて、目をギュッと瞑った。