新撰組~変えてやる!!
「…ぅ……ぁ?」
葵は重たい頭を抑えようと右手を動かした。が、直後に走った痛みにその手を止めた。その手にくるくると巻かれた白い布。
「…包帯…?」
よく見れば、体の至る所に包帯が巻いてあった。葵がきょろきょろと視線を動かすと、そこには不自然な姿勢で座っている土方の姿。土方の頭が勢い良くガクンと下がり、それに驚いたように目を開いた。
「……大丈夫ですか、副長…」
「ぁ、あぁ……………ん?小宮!?」
土方の目が極限まで開かれた。普段は見れないような土方の間抜けな顔に、葵は傷が痛まない程度に笑った。
「…おはようございます、副長。」
「お、起きたのか!?傷はどうだ?痛むのか!?」
庭がガヤガヤと騒がしい。沖田の怒鳴り声が聞こえた気がした。
「…正直、すごく痛いです。動けませんしね。」
「そうか…山崎から痛み止めの薬を預かってる。」
土方は紙袋に入った薬をひとつ取り出した。そして、胸元からも薬らしき物を取り出した。
「ぅげっ!!…まさか…」
「……蛙かよ…。まぁ、察しが良いじゃねぇか…“石田散薬”だ。飲む、よな…?」
土方は不気味な笑みを浮かべた。逆らえない雰囲気に葵は渋々頷いた。頷いた葵を満足そうに見た土方は葵を起こすために葵の頭の下に手を入れた。
「…起こすぞ?」
葵の確認も取らず、土方はグイッと葵の体を起こした。
「…ッ!!…いった~…」
起こされた途端に走った痛みに、葵は顔をしかめた。葵は痛む腕で湯呑みと薬を受け取り、苦さに顔をしかめながらもそれを飲んだ。
「…にがっ…うゎ…何でもいいから甘いのが欲しい!!」
葵は苦さにベッと舌を出した。土方は何か思い出したように部屋を出て行き、小さな包みを持って戻ってきた。
「この間近藤さんに貰ったんだがよ、俺は甘い物が苦手でな…どうしようか悩んでたんだ。いるか?」
そう言って差し出されたのは、色とりどりの金平糖。葵は目を輝かせた。
「いいんですか!?」
「あぁ…総司にやろうかとも思ったんだが、欲しいならやる。その代わり!早く治せよ。」