新撰組~変えてやる!!

 そう言って、土方はゴロンと畳の上に横になった。

 「ありがとうございます!!」

 葵は金平糖をひとつ口に入れた。

 「甘ぃ!!でも美味しい!!」

 「そりゃあ、良かったな。…四ツ半(午前11時)に起こしてくれ。俺はそれまで寝るから。」

 土方はあくびをしてから目を閉じた。土方の寝息はすぐに聞こえて来た。余程、疲れていたのだろう。何故疲れていたのかまでは、葵には分からなかったが。

 「…四ツ半…か…昼の見回りが終わる時間だな…」

 葵は小さく呟き、布団に体をうずめた。

 「……玄鶴…次は、勝ってやる…」

 葵はぐっと拳を握り締めた。






 「…副長、四ツ半になりましたよ~?」

 「…ん~…もうそんな時間か…」

 葵は痛み止めが効いているのか、あまり痛まない体を起こした。

 「ぉまっ!?もう起き上がって大丈夫なのか!?」

 「痛み止めが効いているのか、今は平気ですよ。」

 慌てて飛び起きた土方に微笑みながら、葵は体の至る所に巻かれた包帯を指でなぞった。

 「ぁ、あぁ…そうか…」

 葵は体が痛まないことをいいことに、立ち上がった。

 「って!おいっ!!どこ行くつもりだよ!悪化させる気か!?」

 「庭に出るだけですよ。すぐそこですし大丈夫でしょ?」

 葵は裸足のまま、庭へ向かおうとした。

 「ちょっ!?待て待て!そこに下駄があるだろ!それから、そのままじゃ風邪引くだろぉが!!…ったく…」

 土方はそう言って、自身が着流しの上に引っ掛けていた羽織を葵の肩に掛けた。

 
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