新撰組~変えてやる!!
•3 壬生菜畑
それから一週間という期間、葵は殆どの時間を布団の中で過ごしていた。あの日、無理をして動いたためにその次の日には熱が出たのだった。そのせいか、この一週間の間は部屋から出れば速攻部屋に戻され、木刀を持っていれば取り上げられる、など徹底的に怪我を悪化させるようなことから遠ざけられていた。
「…誰もいない、よね…」
葵は辺りをキョロキョロと見回した。そして誰もいないのを確認すると、葵はそっと部屋を抜け出した。葵の長い髪が、風でなびいた。
「葵、何をしている…?」
葵は突然聞こえた声にビクリと肩を揺らした。声がした方を見れば、つい先程まで誰もいなかったはずの場所に斉藤が立っていた。
「はじ、め…今日は、いい天気だね~…雲も無くて…」
「今日は曇っているぞ。………また抜け出してきたのか…」
葵は斉藤の言葉に声を呑んだ。その様子を見て、斉藤は大きな溜め息をついた。
「…傷は塞がったのか?」
「包帯の数は減ったよ!今も痛み止め飲んでないけど平気だもん。もう直ぐ、完治すると思う。」
葵がニッコリ笑って言うと、斉藤も僅かながらではあるが微笑んだ。斉藤の大きな手が葵の頭にポンと乗った。
「良かったな。………あの時は間に合わず、すまなかった。俺がもっと早く駆け付けることができていたら…」
「…ぇ?……ぁ、ああ!あの日のこと?あれはしょうがないよ。俺だってもっと強かったらこんなに怪我せずに済んだはずだったんだし………謝らなきゃいけないのは俺の方だよ…ごめん…背負わせた挙げ句、そのまま気、失っちゃって…。」
葵は申し訳なさそうに眉を下げた。
「葵!!何起き上がっとんねんな…斉藤はんも、見つけたんやったら、ちゃんと連れ戻してください。」
葵は、いきなり隣に現れた者の声に驚いた。斉藤も驚いたように葵の頭に乗せていた手を引っ込めた。