新撰組~変えてやる!!
•4 舞
葵が声がした方向に首を向けると、いかにも内気そうな女の子が着物をキュッと握りながら立っていた。
「えっと…、この鞠は君のかな?」
女の子は小さくコクンと頷き、葵の手からおずおずと鞠を取った。
「…ぉ兄はん…、おおきに…」
「どう致しまして。君は、ひとりで遊んでいるの?」
葵はその女の子の目線に合わせるようにしゃがみ込んだ。またもや女の子はコクンと小さく頷いた。
「…お名前、教えてくれる?俺は葵。小宮 葵。」
「……舞…」
“舞<マイ>”と名乗った女の子は、今にも消え入りそうな声でそう言った。
「舞、ちゃん?可愛い名前ですね。お友達は、いないのですか?」
「…ぅん。前は、芹沢のおじちゃんが遊んでくれはったんやけど、今は…」
舞はうつむいてしまった。葵は一度目を伏せ、ニッコリと笑った。
「…なら、俺が友達になります。舞ちゃん、一緒に遊びませんか?」
「ええの?蒼兄はん?」
葵は不思議に思って首を傾げた。
「…“蒼兄はん”?」
「……だって、蒼井はん、やろ?」
葵は複雑な気分になったが、それでも舞にニッコリと笑った。
「…まぁ、いいですよ。楠木さんも一緒に遊びましょう。きっと、いい気分転換になりますよ。」
「え…?…総隊長が、そうおっしゃるのであれば…」
楠木も渋々腰を上げ、ニコッと笑った。