新撰組~変えてやる!!
「………入隊を許可する。帰るときが来るまで、ここに居ろ。」
近藤の部屋に来てから言われた、第一声が、これだった。この言葉を言ったのは、土方であった。葵は、意外な言葉に驚きを隠せないでいた。
「ぁ…………っ、ありがとうございます。」
土方は鼻で笑ったあと、“長州の間者かも知れねぇ奴を、外に出す気はねぇからな。”
と付け足した。近藤は、やはり優しい笑みで、“安心してここに居るといい。ここはもう、君の家だ。それにー”そこまで言い、近藤は葵だけに聞こえるように葵の耳元に、顔を寄せた。
「それに、歳だってそう思っているよ。ただ、不器用だから伝わりにくいけど。」
葵はふふっ、と小さく笑った。土方が、“何が可笑しい!?”とでも言いたげに葵を睨み付けるようにして見た。
「ところで、土方さん、近藤さん。ここって、女人禁制ですよね?」
葵の質問に、土方と近藤は顔を見合わせた。
「“何故、そんなことを聞く?”とでも言いたげですね。気付きませんでした?私、“女”ですよ?」
“女”と言う単語を聞いて、土方と近藤の目がこれでもかという位に、見開かれた。土方の視線が胸の辺りをさした。
「……ぁっ…す、すまねぇ……」
土方は、ばつが悪いとでもいうように目を伏せた。近藤も、困ったような顔をしている。