新撰組~変えてやる!!

 「丸竹夷二押御池~♪姉三六角蛸錦~♪四綾仏高松万五条♪雪駄ちゃらちゃら魚の棚♪六条三哲通り過ぎ~♪七条越えれば八九条~♪十条東寺でとどめさす♪」

 壬生寺に、楠木の優しい声が響く。舞も尊敬の眼差しを楠木に向けていた。

 「楠木のお兄はん、すごいっ!うちに、どうやったらうまくできるか、教えて!!」

 楠木は舞にキュッと着物を掴まれ、困ったように微笑んだ。

 「…私ができるのはこれだけです。“寺御幸”はからっきしで…」

 「ほな、うちがお兄はんに“寺御幸”教える!せやから、“丸竹夷”教えて?」

 葵は石段に座りながら、楠木と舞が遊ぶ姿を見ていた。楠木から鞠を受け取った舞がそれを突き始めた。

 「てらごこふやとみやなぎさかい♪たかあいひがしにくるまやちょう♪からすりょうがえむろころも~♪しんまちかまんざにしおがわ♪あぶらさめがいほりかわのみず♪よしやいのくろおおみやへ♪まつひぐらしにちえこういん♪じょうふくせんぼんはてはにしじん♪」

 舞も上手に鞠を突いていた。いつの間にか遠くで遊んでいた子供達が2人の鞠で遊ぶ姿を見ていた。

 「なぁ、一緒に遊ばへん?」

 一人の男の子がこちらに走ってきて、舞に声を掛けた。しかし、舞は楠木の後ろに隠れてしまった。

 「舞さん、みんなで遊びましょう?私達もいますし、ね?」

 楠木は舞に優しく微笑み掛けた。舞もその笑顔に安心したのか、小さく頷いた。

 「おいらは雷太や。っと、こっちが弟の風太。」

 雷太<ライタ>と名乗った少年は駆け寄ってきた風太<フウタ>と呼んだ男の子の手を握った。

 「…うちは…舞…よ、よろしゅう…」

 舞は楠木の着物を掴んだままだった。

 「…友達になったのはいいけれど、もうすぐ日が暮れてしまいますよ?今日はみんな、帰りましょうね。」

 葵が子供達の目線にかがんで言うと、途端に文句を言い出した。けれどここで引き下がる訳にもいかず、葵はいい方法はないかと考えを巡らせた。

 「……では、こうしましょう。俺にじゃんけんで負けた人から帰るんです。どうですか?」

 子供達はぱっと顔を輝かせた。

 「やる!」

 葵はニッコリと笑い、雷太とじゃんけんを始めた。

 
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