新撰組~変えてやる!!

 「どうだった!?」

 夜、副長室では幹部が集まり密談をしていた。

 「駄目だよ。1日でボロ出すなら、間者失格だよ。そっちは?」

 「こっちも収穫無しだ。ったく…俺は元々から、こういうまどろっこしいやり方は大っ嫌ぇなんだ!」

 永倉がふてくされたように言う。

 「…じゃあ、全員収穫なしか。よし、怪しまれないようにだけ気を付けよう。そのうち、ボロを出すかもしれないからね。」

 「わかった。」

 葵は天井を見上げた。土方も気付いたのか、上を見上げた。

 「…丞、そういう訳だから。続けてね。監視よろしく。」

 天井の板が1枚外され、ヒョコッと山崎が顔を出した。

 「分かった。ぁ、せや。今日見張っとって気付いたこと、1つだけある。…間者の疑い掛けとる奴等と、何かしら話しとるわ。これは、間者の可能性高いで。今も楠木が来とる。」

 「……そう…丞、頼んだよ。」

 山崎はコクンと頷き、再び屋根裏に戻って行った。

 「…解散だ。怪しまれても困る。」

 土方の言葉に永倉が出て行き、それを追うように皆がいなくなった。葵と土方しかいない部屋に沈黙が流れる。

 「…………何か、いい方法はないんですか?」

 沈黙を破ったのは葵だった。土方が分からないといったように首を傾げる。

 「…今日1日、楠木と過ごして思ったんです。もっと他に、いい方法があるんじゃないかって。私達が人間なら、彼等も人間のはず。殺すのは、嫌です。」

 「………。」

 押し黙ってしまった土方に、葵はうつむいてしまった。と、その時、クックッと引き付けるような笑い声が聞こえた。それは言うまでもなく土方の笑いを耐えている声だった。

 「……お前は、平和な世界で育ってきたんだな…とんだ甘ちゃんだ。そんな甘い考えで生きて行けるほど、この時代は甘くないんだ…。」

 「でも、彼には間者は向いていない。もしかしたら、話し合いで解決できるかもしれないでしょ?」

 土方は、葵の考えを馬鹿にしたように笑った。

 
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