新撰組~変えてやる!!
•5 敵意
「…誰?」
「もう忘れたか?俺のこと…」
その者が一歩近寄ってきたために、顔が見えるようになった。それを見て、葵は大きい声を上げようとしたが、上げるよりも早く、口を塞がれた。
「…んん~っ…!!」
「…まぁ、そう興奮するな。今日は命を奪いに来たわけじゃない。少し付き合え。話がある。」
その者は葵の口を押さえつけたまま屯所を抜け出し、壬生寺へと足を運んだ。
「…玄鶴、貴様…どうやって侵入した!?まさか、門番を…」
「違う。門番は寝てたぞ?だから入れたんだが…」
葵はキッと玄鶴を睨み付けた。
「何をしに来た!?」
「…お前の怪我の具合を見に来た。見る限りだと、まだ完治した訳ではなさそうだな。」
葵は何か武器になりそうな物を探した。
「さっきも言ったが、今日は殺しに来た訳ではないぞ?」
葵はキッと玄鶴を睨んだ。
「そんなに睨むな。今のお前じゃ、確実に俺に殺されるぞ?俺は結構お前が気に入ってんだ。それに…」
そこまで言って玄鶴は葵の腕を掴み、きっちりと合わされた着物の胸元をなんの断りもなしに広げてきた。
「なっ、何をする!離せ!!」
「やはり女だったか。女の身で俺と対等に戦っていたとは、驚きだ。」
葵は玄鶴の言葉に身構えた。玄鶴は満足したのか、葵の腕を離した。