新撰組~変えてやる!!
「…生かしておけない。」
「まあ、そう言うな。誰かに言ったりはしねぇよ。世の中には、女ってだけで見下す輩が多いからな。まぁ、俺はそんなの関係ないと思ってるし、強い奴なら女であろうと認める。」
葵は着物を直しながら聞いていた。
「いい事を教えてやろう。…今、新撰組に紛れ込んでいる間者は5人だ。」
「………信じろと言うのか?」
玄鶴は意味深そうな笑みを浮かべ、背を向けた。
「…信じるか信じないかは、お前次第。好きにしろ。」
玄鶴はそのまま去って行った。
「………何だったんだ?」
葵の小さな呟きは、静寂な闇へと吸い込まれていった。
翌日、葵は楠木と共に壬生寺で子供達と遊んでいた。
「蒼井!次は鬼ごっこや!」
「嫌や!次はだるまさんが転んだがええの!!」
子供特有の甲高い声に葵は苦笑いした。楠木も同じようで呆れたような表情になっている。
「あれ~?そこにいるのは、小宮さんと楠木さんではありませんか?」
「あっ!総司郎や!」
子供達の声に振り向くと、そこには沖田の姿があった。
「信太、久し振りですね。元気にしてましたか?」
「うん!けど、総司郎…“小宮”って誰のことなん?」
信太の質問に沖田はポカンと信太を見つめた。
「…あのさ、信太…俺も気になったんだけど、総司郎って誰?」
「へ?総司郎は総司郎や。」
葵は内心突っ込みたいのを抑え、信太の目を見つめた。
「総司郎は私ですよ。」
その声に顔を上げると、沖田がニコニコと笑っていた。
「あ、なるほど。えっと…蒼井と言います。“蒼井”です!!総司郎さん。」
「ぁ、蒼井さんですか…」