新撰組~変えてやる!!
•1 霧
「ぉ…山崎に葵。やっと帰ってきたか。…って、葵…どうしたんだ、その目…すんげぇ赤くなってんぞ!?」
山崎と葵が土方の部屋に戻るなり、永倉が騒々しく出迎えてくれた。
「ぱっつぁん…煩い…」
「はいはい、悪ぃな。俺は元々、こういう声のでかさだ。」
永倉はニカッと笑い、自身の隣をポンポンと手で叩いた。
「まぁ、座ったらどうだ?もうすぐ源さんと総司も戻ってくるだろうからさ。」
葵は山崎と共に永倉のそばに座った。辺りを見渡せば、朝集まった時には居なかった林と浅野がいた。
「…林さん、浅野さん。お疲れ様です。こんなに朝早い時間から、ありがとうございました。」
「いえ、そんな…」
2人はプレッシャーを感じているのか、小さくなってしまった。
「ハハッ…そんなに緊張しなくてもいいですよ?ほら、正座じゃなくてもいいんで、足を崩してください。」
「は、はい。」
葵は2人が足を少しだけ崩したのを見届け、襖に目を向けた。その直後、襖が開き井上と沖田が入ってきた。
「源さん、沖田さん、お帰りなさい。」
「あぁ。ただいま。」
井上は柔らかく微笑み、山南の隣に座った。
「…さて、と…全員帰ってきたみてぇだし、報告してくれ。」
「“松永 主計”、斬殺しました。」
沖田が少し口元を緩めて言った。土方が小さく頷いた。
「えっと、“松井 龍二郎”、同じく斬殺しました。」
「…“御倉 伊勢武”、右に同じく…」
「…“荒木田 左馬之助”、斬り殺しました。」
沖田が最初に報告したことで、藤堂、斉藤、林の順で報告し、自然とまだ報告の終わっていない葵と山崎に視線が集まった。
「“楠木 小十郎”、刺殺しました。」
「……そうか。ご苦労だった。皆の今日の隊務は除いておいた。それぞれ、思い思いに過ごしてくれ。」
土方は目を閉じ、そう言った。
「よっしゃ!ぱっつぁん、平助、甘味処行こうぜ!!おっと、葵も行くか?」
葵は少し考え、拝むように手を合わせた。
「ごめん!!行きたい所があるんだ…また今度、誘ってね。」