新撰組~変えてやる!!

 店に来た時には降っていなかった雨が激しく降っている。葵は店の軒先で立ち止まった。土方から刀を受け取り、それを自身の腰に差した。

 「ありがとうございます、副長。一も、ありがとね。」

 葵は刀に手を添えながら笑った。行く前に山崎から手渡された傘が右手にある。葵はそれをひらき、静まり返っている町へと踏み出した。

 「…近くの茶屋にでも行くか。こんな雨の中、ここからでは屯所につくまでに足元が濡れてしまう。」

 「そうですね。少し、雨宿りしましょうか。」

 葵に続き、傘をさして歩いて行く土方と斉藤の後を葵は嬉しそうな表情で歩いた。腰には買ったばかりの刀を提げて。




 「ぉ、お待たせしました。ごゆっくりどうぞ…」

 「ありがとうございます。」

 葵達は、近くにあった茶屋にいた。お茶と団子を数本持ってきた可愛らしい店の看板娘は、葵の笑顔に頬を染めた。そして顔を盆で隠すようにしながら店の奥へと戻っていった。

 「…どうしました?……もしかして、副長…あの可愛らしい娘さんに惚れたんですか?」

 葵はぼーっと娘の消えた方を見つめる土方をからかうように声を掛けた。

 「ばーか、そんな訳ねぇだろ。あんなガキ、俺が相手にすると思うか?」

 「さぁ…?案外、ああいう娘が好みだったりするんじゃないですか?」

 葵の返答に、土方は鼻で小馬鹿にしたように笑った。そして熱々のお茶を口に含んだ。

 「…勝手に言ってろ。ほら、俺は団子食べねぇから、2人で食べちまいな。」

 「へ?…食べないんですか?甘い物は考え事する時にいいのに…」

 そう言いながら、葵は目の前に置いてある団子を1本手に取り、口に入れた。

 「俺は甘いのが苦手なんだ。」

 「それは残念…それじゃあ、女性の気持ちは分かりませんね。」

 葵はパクッと2個目の団子を口に入れた。斉藤も団子を1本取り、口に入れた。

 
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