新撰組~変えてやる!!
「そ、総隊長!!こちらに、おられましたか…」
「あれ…?今度はどうしました?」
先程、雫が来たことを知らせてくれた隊士が、再び息を切らしながらやってきた。
「こ、今度は、局長と総長が…」
「……今日は非番のはずなんですがね…ご苦労様です。」
葵はまだ息の整わない隊士の横を通り過ぎ、2人がいるであろう局長室へと足を運んだ。
「失礼します。局長、総長…いらっしゃいますか?」
葵がそう声を掛けた途端に、ガラッと目の前の襖が開き、半ば強制的に部屋の中へと入れられた。
「小宮君!非番なのに済まないな…少し相談に乗って欲しくてな。どうしても、歳に通したい案があるんだ。」
「……案…ですか…?」
葵は座りながら返事を返した。
「私が考えても、どうもいい口実が浮かびませんで…せっかくの非番でしたのに、申し訳ない…」
山南は申し訳なさそうに、葵を見た。
「いえ、構いません。…で、どんな案なんですか?」
「ああ、それはだな…“屯所が襲撃に遭ったら”という想定の下、実技訓練を行ってはどうかと思ってな…」
葵は驚き、固まった。
「……訓練、ですか…?………そうですね………えっと…団結力アップとか、現段階で、どれだけ統率力があるのか…ですかね…」
「…“あっぷ”?」
近藤と山南が困惑気味に顔を見合わせた。
「え、あっ!!す、すみません!……えっと…“団結力をより強くする”あと、“現段階での統率のとれ具合を確認する”という目的でどうですか?」
「な、なるほど…」
近藤と山南は小さく頷いた。そして近藤が立ち上がった。
「よし、では歳に話してくる。善は急げというしな。」
「やれやれ…少しせっかちなところは、何時まで経ってもなおりそうにありませんね…葵君、ありがとうございます。では、私もこれで…」
山南も近藤の後を追うように出ていき、葵も、いつまでも局長室に居る訳にもいかず、また自室へと足を向けたのだった。