新撰組~変えてやる!!
「葵、団子買ってきたんだ。一緒に食おうぜ!」
声を掛けることなく襖を開いた見回り帰りの永倉を睨み、その後ろにも睨みをきかせた。
「…できれば、声くらい掛けていただきたいですね…」
「す、すまねぇ…」
葵は大きな溜め息をつき、睨むのを止めた。
「ま、入りなよ。いきなり睨んで悪かったね。…少し、考え事をしてたから…」
「いや、こっちこそ…」
葵はほどいていた髪を軽く纏めた。
「…ほら、左之も平助も隠れてないで入って。」
葵の言葉に、2人はしばらくしてから葵の部屋に足を踏み入れた。
「…で、珍しいじゃん。俺の部屋に来るなんて…3人とも、初めてだったよな?」
葵の問いに3人は仲良く頷いた。
「まぁ、何となくなんだが…それに、ほら…葵の怪我が治ったらって約束してたけど、まだできてないし、副長に予定聞いたら、俺達全員の非番が重なる日ってなかなかないんだよな~…」
「そうそう!それに、なんか最近さ…なんて言うか、こう…ピリピリしてんだよね~…屯所が…間者一掃の後からかな…?ずーっとこんなんなんだもん。」
葵は眉を潜めた。そう言えば、と思い当たることがあり、葵はまた考え込もうと腕を組んだ。
「っと、今は考え事はやめようぜ。」
組んだはずの葵の腕は永倉によって瞬時にほどかれ、葵は苦笑しつつも目の前にある団子を1本取った。
「そ、総隊長~…」
「……………はぁ…」
こうして、妙に訪問者の多い1日が終わるのであった。