新撰組~変えてやる!!
屯所の入口の辺りに人影が見える。ひとつは永倉のものだ。
「おい!!てめぇら!稽古に戻れ!!」
「少しくれーいいだろ!?……おめぇが小宮 葵か。」
永倉の隣にいた男が葵に声を掛けた。女の身にしては少し高めの身長のはずの葵が見上げなければ顔が見えないほど身長が高い。土方と同じ位の身長だと思う。
「俺ぁ、原田 左之助ってんだ。平助や、ぱっつあんと同じ副長助勤だ。よろしくなっ!!」
「はぁ……」
葵は、曖昧な返事をした。原田 左之助と言えば“切腹傷”だ。それに、女好きとも伝わっている。この観点から、葵は原田を“馬鹿な切腹傷野郎”と判断していた。顔がいいのが、せめてもの救いだろう。葵には、何故この男が副長助勤なのか理解不能だった。葵は、顔が引きつりそうなのを、必死でこらえていた。
「もういいだろ?早く稽古に戻れ。」
「ちぇ…わーったよ。」
葵は土方に心の中で感謝した。土方も、渋々稽古に戻る原田と永倉を苦笑いしながら見送っていた。
「おう…土方じゃないか。なんだ?その童は…。」
土方は、一番会いたくなかったとでもいいたげに、小さく舌打ちした。