新撰組~変えてやる!!
•4 討ち入り練習
「………局長、あんた…正気か!?山南さんも何言ってんだ。」
「まぁ、歳…少し落ち着け。何も考えなしに言っているわけじゃない。」
近藤の部屋には今、土方、近藤、山南の3人が集まっていた。そして、その部屋に近付いていく一つの足音。
「落ち着いていれっか!いきなり部屋に呼び出したかと思えば1日使って、討ち入りの練習するだと!?ふざけんのも大概にしてくれ!ただでさえ今は警戒を強めてんだ。そんなことに時間を割いていれっか!!」
「聞け、歳!!今、この組がどれだけの力をつけているのか理解するためにもだな…必要なことだと思わんか!?」
その足音の主は、近藤の部屋の前でピタリと足を止め、大きな溜め息をついた。
「…あの…“今日、非番のはず”の小宮です…入っても?」
「すいませんね…また、呼び出してしまって…」
葵は山南の言葉に苦笑いをし、中へと入り、襖を閉めた。
「…今日は色々な方に呼ばれて、忙しい日ですね…“非番”なのに!!」
葵は抗議の意味を含めて、近藤に鋭い視線を向けた。
「討ち入りの練習について歳に話していたのだがな…」
「……無視か…」
葵は頭を抱え、また大きな溜め息をついた。笑うことも増えたが、それ以上に溜め息をついている気がする葵であった。
「あんまり溜め息ついてっと幸せが逃げんぞ?」
「……大きなお世話ですよ…」
葵は土方の言葉にまた溜め息をついた。
「副長…、討ち入りの練習をすることでの利点は聞きましたか?」
「ん?あぁ…まぁ、それに関しては俺も賛成なんだがなぁ…そのための代償が大きい。1日使うのはな…」
「じゃあ、今から話すことでその考えが変わりますよ。」
葵が不敵な笑みを浮かべたことに3人は顔を見合わせた。“これは、私がいた時代での知識ですが…”と前置きをし、葵は近くにあった紙と筆を手に取った。
「今、俺達がいる時間がここだとします。」
葵は髪に1本の線ー数直線のようなものを引いた。そしてその線のすぐ下の右端に“未来”、左端の方に線の上に黒い丸を書き、その下に“現在”と書いた。